コーチ・えのもとは365かける2回、ぼくらにテニスで教え、中2の終わり、転校で突然いなくなった。
盆も正月も雨の日も晴れの日も一緒にいたのに、たかだか転校で2度と会わなくなるだなんて。
コーチ・えのもとの転勤がなかったとしても国体までか卒業までで終わりだっただろうけれど。
30になればわかるからやりなさい!
毎日のように説教し続けた彼の言葉が今でも色々のときにヴォクに話しかけてくる。
あのときの言葉のまま、自分だけベンチに座りぼくらは30分立ちどおしで。アイモカワラズ暗闇から低い声で一方的にはなしかけてくる。
ああ、説教していた意味はそういうことだったか。30になっても35になっても説教を続けるためだったのか。
説教はボールがみえなくなると毎日あった。最高に無駄な時間だとばかり思っていたのだが。